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みじんこブログ

生き物の話題を中心に幅広い記事を書いています。YouTubeに動画投稿もしています。

「壁ドン」は誤用でもパクリでもない

漫画 社会

いろんな「壁ドン」

発表される流行語がネットと乖離していることが毎年話題になるユーキャン新語・流行語大賞が発表された。そのトップテンに今年は「壁ドン」という言葉があった。「壁ドン」はネット上のスラングでWikipediaでは下記の意味があるとされている。

【1】集合住宅等で隣の部屋が騒がしい時に壁をドンと殴る行為。

【2】男性が女性を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く行為。

【3】壁を叩きたくなるほどの不満や憤りを感じた時など、腹が立った時に壁を殴る行為。 

壁ドン - Wikipedia

 

この【1】【2】を巡ってネットではどちらが誤用かパクリかの論争や反応が定期的に起きていて、一つの言葉を巡ってこんなに争うのは珍しい気がする。

私が日常的に使う言葉ではないので別に【1】の「壁ドン」に愛着があるわけじゃない。だけどネットでは掲示板やコピペを通して昔から知っていて、語感良くうまく表現するよな〜と感じる言葉の一つだった。どこが発祥かは特定はされていないだろうけど、ネット上でわりと前から昔から浸透している言葉であったはず。

ところが最近【2】の使われ方でメディアが取り上げ始めて流行になったらしい。今年は映画が関係しているせいかメディアでの露出も多くて、【2】の意味で使われる度に2chやTwitterでは多くの人がメディアが誤用!!!とネタにしていて、私もなんとなく違和感を感じていた。 

 

認識のズレの実例


壁ドンされました… : 家族・友人・人間関係 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「壁ドン」の認識のズレがよくわかる。トピ主は「壁ドン」を【1】の意味で使っているけど、回答者には【2】の認識がいてあまり噛み合ってない。小町利用層には【1】は馴染まないのか。

 

それぞれ別の場所で発生

【1】

「壁を叩く」意味での使用について

A.「壁をドンドンされた」との表現は2000年頃からみられる
B.「壁ドンって」との表現は2004年頃からみられる
||597 :774号室の住人さん:04/11/19 21:59:01 id:xFUuQA01
||隣が一人暮らしを始めたらしく、夜中に友達三人くらい集めたりして騒いでたことがあった。
||うるさいから壁ドンっ!と殴ったらドンっって返ってきた。
||格闘技やってるし全員しばいたろ思ったけど、手出したら犯罪になるし、どうしたらいいものやら…
||
||不動産にメールしておいたら翌日に隣の親が来て隣のDQNがどうのこうの言われてた。
||力でねじ伏せる方法もあるがこっちの方が面白いとおもった。
||
2004年10月23日 [一人暮らし] 【教えて】隣人がうるさい【教えて】
※「壁ドン」を略称として用いている。これが起源か?
2005年07月27日 [一人暮らし] 隣人がうるさい part13
※「ドンする」を動詞で使っている
2006年02月21日 [一人暮らし] 隣人がうるさい part24
2006年08月02日 [一人暮らし] 【壁蹴る】隣人がうるさいpart38【おまいもDQN】
2008年11月08日 [就職板] 【俺たち】IBM関連・子会社【IBM】
2009年05月23日 [ニュー速VIP+] 壁ドン妖怪「こりょひゅぅぅぅりょぉっ!!」
2009年08月03日 [ニー速] 田中ゆかりのチェルシーガール歌ってたら壁ドンって
2009年08月14日 [ニュー速VIP] エミネム聞きながら狂ったようにリズムとってたら壁ドンされた…
2009年08月17日 [一人暮らし] UniLife学生マンションその2

2010年06月頃 ~定着

http://fox.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1417443074/138

 

この投稿の2004年のスレッドを確認してみたところ、確かに「壁ドン」という言葉が出てきていた。専門板の隣人との騒音問題を語るで生まれてきて、その後に書き込みやコピペなどを通して定着したのだろうか。名無しの発言から生まれて浸透してきた言葉なので波及の過程はぼんやりとはしている。

 

 【2】

◆壁ドン
映画『L♡DK』
壁を背にした一人に対し、向かい合って立つ一人が壁にドンと手をつき顔を接近させるポーズ。壁側に立つ人が女性、もう一人がイケメン男性という組み合わせで、女性憧れのシチュエーションとしてブームとなっている。最初に言い出したといわれるのは声優の新谷良子で、その後、少女漫画『L♡DK』が火をつけた。アイドルグループのイベントでは、アイドルが壁ドンして「君は僕が守るよ」と優しくささやく、といったファンサービスも行われているという。この壁ドン、男性側の強引な感じがよいのだという。従順な若い男性社員が増殖していることを背景に、現実にはなかなかお目にかかりにくい、強引に引っ張っていってくれる男性像が女子たちの妄想をかきたてたのだ。

http://singo.jiyu.co.jp/nendo/394D8696-6BF5-1014-9AA5-DB3EFEFDD543nendo.html

 流行語大賞を主催する自由国民社のサイトより。受賞した「壁ドン」の起源が紹介されていている。調べてみると最初の2008年頃は「壁にドン」だったらしいく、そこから短くなって「壁ドン」になったのだとか。起源は意外に古い。こちらも実際に浸透しているようだ。

実際に音源が残っていた。この動画が起源とされてるらしい。少女漫画ではよくあるらしいシチュエーションにここで「壁にドン」の名前が与えられ、その後の少女漫画と映画で火ついた感じか。しかし映画の主演の人が受賞してるのかはちょっと謎ではある。

 

「壁ドン」という語感

言葉の中には意味に関係なく何故か使いたくなる語感を持ったものが存在すると思う。「壁ドン」がまさにそれで、一文字の漢字と擬音語の組み合わせという見た目の面白さもあるし、日本人が好きな4文字の略称でンで終わるから、読んでもおさまりが良い。だから【2】が「壁にドン」から「壁ドン」にいつからか縮まったのも自然ではないだろうか。略語の言葉の持つ響きに吸い寄せられただけで、元々ある言葉に被せようと縮めて「壁ドン」となったわけではなさそうに感じる。

 

言葉と縄張り

一つの言葉が発生して浸透する過程で複数の意味を持ったというのではなくて、二つの「壁ドン」は別の場所で発生して別の層に波及していったようだ。それをある時にマスコミが見つけてテレビなどの影響力の強い媒体で劇的に拡散していった結果、私を含む【1】の認識を持つ層に自分たちが持つ言葉への上書き感を与えたのだと思う。

【1】をシカトするならまだしも、昔はそういう意味だったという扱いであったり、【1】という意味での使用は勘違いであるという紹介がされると尚更そういう感覚を与えるわけで。

ミヤネ屋「一部では壁ドンのことを『壁を叩く迷惑行為』だと勘違いしてる人がいる」 - ニコニコ2ちゃんねる(仮)

古くからの2chの利用層にはのまネコ問題の記憶がありテレビが取り上げた時には慣れ親しんだ文化が剽窃され別物になっていることへのトラウマや警戒心がある。要はマスコミをあまり信頼していない。(ちなみにのまネコ問題ではPC遠隔操作事件の容疑者であるゆうちゃんが実は殺害予告で逮捕されていたと話題になった事件でもある)

5分で解る「のまネコ」問題

この辺の感覚はある種の縄張りに近い感覚があるかもしれない。マスコミのゴリ押しによって自分の属してる場所から生まれた言葉が侵されているような感覚になると、防衛行動として【2】の「壁ドン」自体に対して本能的に否定する行動にでるのは自然でもあると思う。

だけど、二つの「壁ドン」が異なる発生経緯で波及していったと知ると考えが変わるんじゃないかと思う。

 

誤用でもなければパクリでもない

 一つの言葉で複数の意味があったり、後から意味が変わってしまった言葉なんてものは珍しくはないはず。例えば方言で同じ言葉でも地方によって全く意味が違う場合は、面白いね〜という反応が普通。「壁ドン」も本来は似たような話だと思う。誤用でもなければパクリでもない。それでいいじゃないか。

 

「壁ドン」の代名詞のレオパレスは逆手に取ってうまく活用

【壁ドン女子】私たちの壁ドン、見てみない?|レオパレス21

 

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