みじんこブログ

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猿沢池の南側の樹木が伐採されるらしい件と猿床なる構想について

奈良新聞が報じていたのを見て驚いた。猿沢池の南側の樹木が伐採されるらしい。報道を見て、えっ?と思った。ここの樹木はそんなに景観を阻害しているのか。この近くは何千回も通っているけれど、邪魔だと感じたことは一度もない。むしろ街からここ猿沢池までやってきたら、緑が一気に増えて奈良公園に来たなあという気持ちになる。

 

www.nara-np.co.jp

 

猿沢池の南側とは池の五重塔側ではなくて反対の図書館側、旅館が潰れて新しく建物が立った側のことだ。率川(いさがわ)も流れている。どういう計画に基づくものなのだろうと思って、検索をかけると奈良公園植栽計画というものが出てきた。 

http://www.pref.nara.jp/secure/119489/kohoa4.pdf

 

http://www.pref.nara.jp/secure/119489/kohoa4.pdf

 

なるほど、こういう整備計画があったのか。猿沢池周辺は古写真も残っている。その写真を見ると確かに今と違いクスノキなどの常緑樹がそれほど無いように見え、興福寺五重塔が猿沢池からよく見えるのだ。公園整備の頃に近い見通しの良い景観に戻すついでに桜とかも植えたいという話のようだ。

 

幕末・明治期 日本古写真メタデータ・データベース-[検索結果の一覧表示]

 

この計画は正直どうなんだろうと思う。観光に来た方は喜ぶのだろうか?今の緑の多い状態が景観を阻害しているとは私は思わないけどなあ。奈良公園はそこらじゅうで大木が育っていて興福寺猿沢池の近くも同じ。伐採予定とされる木も立派なものが多い。公園内でそういう木が育っているのも含めて景観なんじゃないのと思うのだけど。見慣れた風景が明らかに変わってしまうのは寂しいね。

 

この計画の一環で南側も伐採なんだねと思って、引き続き検索をかけてみたら今度は「猿床」なる構想が出てきた。

 

togetter.com

 

率川の場所に鴨川のアレを模した「猿床」なるものを作りたいという計画らしい。これを作るなら確かに樹木が邪魔になるなあ。このくだらない計画って奈良県民はどれくらいの方が知っているんでしょ。ほとんどの方が知らないのでは。平城宮跡も埋め立てもいきなりだったし。今回も奈良県って何も変わってないんだなあと感じた。今の知事さんの性格が出てるんでしょうか。

 

つうか植栽計画のpdfに書いてあったナンキンハゼの伐採の方が先なのではと思う。こっちは春日山原始林の保全に明確な懸念が出ているわけで、本当に景観を守りたいと思っていたり、このエリアの本当の魅力や価値を維持したいのなら優先度はこっちのが先。対策の難しいナラ枯れに関しては試行錯誤しながら対策を頑張っているんだなと感じているけどね。

 

どうも県が謳う魅力ある景観を将来に守り伝えますという言葉がそのまま頭に入ってこないんだよね。モノレールにしても、湿地草原埋め立てにしても、今回のことにしても。全部、根底に流れているものは繋がっている気がする。

 

 

昭和の奈良大和路 入江泰吉の原風景 昭和20〜30年代

昭和の奈良大和路 入江泰吉の原風景 昭和20〜30年代